持ち株制度のメリットとデメリットは? 本当にお得なの?
2018/02/18
今春から新社会人になりましたどらごんですこんにちは。
……という自己紹介は置いておいて、上場会社によくある持ち株制度。今回はこれについて考えてみたいと思います。
持ち株制度のメリット・デメリットは?
持ち株制度についての説明を受けたときに言われたメリットとデメリットは次のようになっています。
- 購入金額の数%を会社側が負担して上乗せしてくれる
- 毎月定額を積み立てるので、ドルコスト平均法で平均値を有利にして買える
- 少額から投資ができる
- 値下がりリスクはあるが、値下がったらその分株が多く買えるので一概に損とは言えない
- 単元株に達したら個人の証券口座に移され、好きなときに売却して利益を得ることができる
では、これらについて考えてみましょう。
購入金額の数%を会社側が負担して上乗せしてくれる
持ち株制度で自社株を買うことのメリットとして真っ先に挙げられるのはこれでしょう。
というか、これがなければわざわざ持ち株制度で買う意味がありません。
仮に10%上乗せしてくれると仮定すると、まあ大体9%くらいの値下がりには耐えられるということです(ざっくりとした計算です)。
では、この9%ってどんなものなんでしょう?
日経平均株価で考えてみると、ここ数年はアベノミクス効果もあって2万円に乗せたりもしていましたが、5年ほど前には1万円を切っている時代もありました。
単純に考えて、株価が2倍になっているということですが、逆に考えると、何かの拍子に50%下落することもあり得るということです。
まあ普通はそうなる前に売却して損切りするのですが、これについてはまた後で話したいと思います。
毎月定額を積み立てるので、ドルコスト平均法で平均値を有利にして買える
ドルコスト平均法とは、毎月定額で買付を行うことで、結果的に有利な買付ができるという方法のことです。
例えば、1000円→1200円→800円と株価が推移しており、それぞれで10株ずつ買ったとします。
すると、10000円+12000円+80000円=30000円で30株購入できたことになります。
一方で、毎月10000円ずつ積み立てたらどうなるでしょうか。
一定金額の積立では、安いときには株を多く、高いときには少しだけ買うことになります。
先ほどの例で考えると、1回目は10株、2回目は8.33株、そして3回目は12.5株買えることになり、合計で30.83株と、同じ金額で先ほどより0.83株多く購入できたことになります。
このように、特に高度なテクニックを使うことなく有利に買付が行えるドルコスト平均法は非常に優秀な方法といえるでしょう。
この点に関するデメリットは特にありません。
少額から投資ができる
普通の証券会社で単元株を買うと、何万円、何十万円と必要となってしまうので、特に新入社員には手痛い出費となってしまいます。
その点、持ち株制度では、結果的に単元未満株でも買うことができるので、数千円からの投資が可能です。
この点に関するデメリットとしては、少額投資なのでリターンも少ないという点ですが、その分リスクも抑えられているので問題ないでしょう。
値下がりリスクはあるが、値下がったらその分株が多く買えるので一概に損とは言えない
先ほどのドルコスト平均法でも説明しましたが、値下がりをすると同額でも株をたくさん買うことができます。これは間違っていないです。
しかし、目的を見失ってはいけません。
基本的には、投資は売るときに買ったときよりも値段が上がっていればハッピー、というものです。
そのため、その値下げが一時的なものであれば、この説明の通り、株が多く買えるので最終的にはハッピーです。
しかし、その値下げが本質的なものであれば(例えば事業を縮小せざるを得ない状況に追い込まれている等…)、株を持ち続けているのは危険です。
というわけで、「一概に損とは言えない」という言葉は正しいですが、逆に言うと、「損する場合もある」ということを常に意識していなければなりません。
単元株に達したら個人の証券口座に移され、好きなときに売却して利益を得ることができる
さて、一番の問題点だと思っているのはこちら。
積み立てた株が単元株(大体100株か1000株です)に到達すると、個人の証券口座に移され、そこで初めて売却が可能になります。
これの何が問題なのかというと、単元株に満たない場合は売却ができないということです。
流動性リスクという言葉があります。
流動性リスクは、「リクイディティリスク」とも呼ばれ、資産運用において、マーケット(市場)で取引高(取引量)が少ないため、株式や債券などを換金しようと思った時に、すぐに売れなかったり、希望した価格で売れなかったりするリスク(可能性)をいいます。
例えば、不動産なんかは、売ろうと思ってもなかなか売れない(高い買い物ですし、買い手がついたとしても手続きが煩雑です)ので、流動性リスクが高いといえます。
一般的に株式は流動性リスクが低く、売ろうと思えばたいていの場合すぐに売ることができます。
しかし、少額投資である持ち株制度では、この株式のメリットを失ってしまう場合が多々あると考えられます。
例えば、株価が1000円前後で上下しており、単元株が1000株の会社の持ち株制度で、毎月1万円ずつ積み立てていくと考えます。
簡単のために、買付のときは株価が毎回1000円であったと仮定します。
このとき、毎月の購入株数は10株。単元株に達するまで100ヶ月掛かります(実際はボーナスでも積み立てを行うと思いますが、簡単のため省略)。
100ヶ月というと、8年ちょっと。長いですね。
ここで、東京電力を例に挙げてみましょう。
8年前、東京電力株は安定していて、退職金を全部突っ込んで配当生活を目論んでいた人もいたとかなんとか。
ところが、皆さんご存知の通り、東日本大震災の原発問題で株価が暴落。
震災前は2000円の値を付けていた株が、今では500円程度になってしまいました。
2000円が500円になったということは、75%も下落してしまったということです。
これでは例え10%上乗せしてもらったとしても大損です。
このように、8年後に何が起こるかは予想できないのです。
そのため、売りたいときにすぐ売れるというメリットを失うのはあまりに痛いと考えます。
以上をまとめると、僕は持ち株制度を利用するべきではないと考えます。
じゃあ結局どうしたらいいの?
しかし、僕は投資自体を否定はしません。というかむしろ推奨しています。
それは、経済に敏感になれる、インフレなどのリスクに対応できる、給与所得以外の副収入が得られる……などの様々なメリットがあるからですが、これらはすべて持ち株制度とは関係なく、あなたが個人的に投資をすればいいだけです。
好きな会社の株を買って応援しつつ値上がりを期待してもいいですし、個別株が分からない、怖いと思う人は投資信託でもいいと思います。
ただ、注意点としては、値動きの激しい株を買って一発当ててやろうとは思わないほうがいいです。
相手はプロなので、勉強も経験もない初心者が勝てるほど甘くはありません。
その点に注意しつつ、ゆっくりと資産形成をしていくのが一番いいのかなあと思います。
ちなみに、多くのネット証券会社では、投資信託で先ほど述べたドルコスト平均法による定額買付が可能です。
僕も試しに毎月1000円ずつ買っているのですが、ほどよくプラスになっていていい感じです(1000円なのでプラスも微々たる物ですが……)。
興味のある方は是非口座開設してみてください。